むかーし むかし、
海の近くに、真っ赤な顔をした恥ずかしがり屋の赤鬼が住んでおりました。
どうしてぼくはこんなに真っ赤っかなんだろう・・・
遠く人里離れた山のてっぺんに住む青鬼さんに憧れて、
しばし弟子入りをすることにしました。
青鬼さんのお仕事は、藍染
お手伝いをしているうちに、真っ赤な手が青く染まってきました。
「ぼくも、もう少しで青鬼さんのようになれるかも!」
来る日も来る日も、毎日藍染のお手伝いをしました。
自分の服も、全部藍で染めました。
しかし、染まってくれるのは手だけ。真っ赤な顔は変ることはありませんでした。
しばらくしてお家にもどると、海辺に住む赤鬼さんの仲間たちは、
見たことのない深ーい青色の服に釘づけ。
「オラのも、お願い!」
赤鬼さんは、藍を通して、また青鬼さんと文通をはじめました。
白い服が青くなって帰って来る 衣の便りを何往復もした頃、
青鬼さんは ただ青い色ではない
日本の昔の藍染にも 挑戦しはじめました。
醗酵の藍さんは、居心地のいいところでゆっくり青を出します。
あたたかくして、ごはんをあげて、ゆっくり寝せて。
我が子のように藍を愛で育てながら
すでに青い青鬼さんが、さらに青くなろうとしていました。
色とりどりの世界を見せてもらった赤鬼さんは、
自分の真っ赤な手を見つめながら
赤いありのまま自分が、いつの間にか好きになっていました。
あおいお手紙が教えてくれたこと。
今でも、衣の便りは
山と海を行き来しているそうな。
お話のつづきは
あなたさまからのご依頼にて。
(物語 赤鬼こと内田麻衣)
原風景の中の藍色を求めて、藍草から作られる良質な蒅、楢木の木灰、湧水のみで醗酵させる本来の藍染で染めています。
自ら彫った型紙を用いた型染の反物を中心に制作。作品紹介はこちら
工房に隣接するギャラリーで展示・販売をしています。
*染め直しは2020年をもちまして終了致しました。詳細はこちら
some-mono 佐々木龍大 atelier & gallery
〒020-0828 岩手県盛岡市大慈寺町4-13